イジメから始まる物語
三日後



「はよー!」

「おはー」

クラスメイトの挨拶が飛び交う中、俺は彼女を待っていた。

ガラッ

「舞だ…」

「どうする?話しかける?」

「でも天野くんにイジメられんの嫌じゃない?」

舞の取り巻きだった3人がヒソヒソと話している。そっか、もうイジメを天野がやめたのは俺と園田の秘密だったっけ。

それが聞こえたのか佐倉は眉根を寄せ3人を睨んだ。

「ヒッ…」

「何か、用?」

「な、なんでもないよ!ね、ねぇ?」

「う、うん!」

「あ、ここ、佐倉さんの席だよね⁈す、すぐ退くよ!」

俺の前が佐倉の席。

俺は一番後ろの窓側。

自分の席に鞄を置いた佐倉に俺は迷ったが話しかける事にした。

「さく…「舞ちゃん!」

しかし園田に遮られた。叫ぶと同時に園田は佐倉に抱き着く…と言うより飛び着く。

「美希…苦しいよじゃなかった。

苦しいんだよ離れろ」

「やぁだぁ!」

「いや、マジで苦しいから!」

「えぇー」

渋々、といった様子で園田は離れた。

この2人のやり取りが面白くて、俺は軽く笑う。

「一砂ぁ!ちょっといいかー?」

「今行くよ」

裕也に呼ばれて、俺は屋上へと向かった。

「なぁ一砂。園ちゃんと俺が前言ったこと覚えてる?」

「あぁ…俺の好きな人がどーたらこーちゃらってやつだろ?」

「あれってマジ実際のところどうなわけ?」

「いや…わかんねぇ。

ただ、佐倉を俺は何故か特別に扱ってるんだ」

「すぐわかるよ」

珍しく真面目な顔で言い切った裕也に俺は違和感を覚えたんだ。けど、その違和感は拭い切れる事は無かった。
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