執事くんはお嬢様に溺愛
「その調子です!お嬢様!」
ローラの手を握り、反対の手はローラの腰に添え、密着したこの状況にアッヒェンベルは、心の中でにやけが止まらなかった。
たが、それを表に出してはこの美味しい状況がすぐに終わってしまうことがわかっているので、
あくまで冷静に、いつもの微笑みを浮かべて誤魔化す。
「…う、うむ」
一方、ローラはアッヒェンベルとのいつも以上の密着に始めは戸惑っていたが、今はダンスのステップに苦戦しながらも集中している。
そんな頑張っているローラの姿が可愛くて仕方のないアッヒェンベル。
「あ!す、すまない!」
アッヒェンベルの足を踏んでしまう度に、申し訳なさそうに上目遣いで謝ってくるローラに、既に彼は足の痛みなどどうでもよくなってきていた。
この表情が見られるなら何度でも踏まれたい!と思ってしまうほどに。
「本日は、ここまでにしておきましょう」
もう少し、ローラと密着した状態を楽しんでいたかったが、そこはさすが溺愛執事。
ローラの疲れた様子をいち早く察知し、自ら手を引く。
「ありがとう…」
ローラもホッと息をつく。
「では、お嬢様、また明日もレッスン致しましょうね」
「………え"?」
溺愛執事による、ダンスレッスンは数日続いたそうな。