執事くんはお嬢様に溺愛
溺愛執事と風邪を引いたお嬢様(2014/7/15)




「………んん…」


苦しそうに熱に魘されるローラ。
眉間には皺を寄せ、目尻には苦しさから涙が浮かぶ。


「お嬢様!お嬢様!!」


そのすぐ傍、ベッドの脇には、
愛して止まないお嬢様の一大事にいないはずがない、人物が。


「お嬢様!お嬢様ぁ~!!」


号泣しながらローラの手を握り、何度も呼び掛けるアッヒェンベルの姿がもちろん、そこにあった。




「嗚呼…っ!できることならば、私が代わってさしあげたい!!お嬢様!このアッヒェンベルに熱をお渡し下さい!!」


無理難題なことを言うな。と熱に魘されながら心の内で呟くローラ。


「…アッヒェン…ベル」



掠れた小声で彼の名を呼ぶローラ。

その声がどんなに小さかろうとアッヒェンベルには必ず届く。
例え、一キロ先からローラが呼んだとしても、アッヒェンベルの耳には届くのだろう。


どんな時も、どこにいようと、アッヒェンベルはローラの為ならば駆けつける。




「はい!お嬢様!なんでしょうか!?」


「……心配…してくれるのは、嬉しいのだが…、少し…、そっとしておいて、くれないだろうか…」



言いづらそうに、更には熱のせいでうまく呂律が回らないのも相まって、たどたどしく言うローラ。


ダメだ…っ!!可愛いすぎる!!!

涙目でそんな風に訴えるローラに今にも卒倒してしまいそうなアッヒェンベルだが、なんとか意識を保つ。



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