執事くんはお嬢様に溺愛
執事によるお嬢様溺愛論(2014/7/14)
「よいですか?みなさん!お嬢様の可愛さはこの国…否!この世界一なのです」
広い部屋の一室に、黒の燕尾服やメイド服を着た人物たちがキチッと横に整列し、三列に別れて綺麗に立ち並んでいる。
そんな大勢の使用人達の向かいにいるは、アッヒェンベル。
このアッヒェンベル、実は若いながらに執事長という立場である。
使用人たちを取り仕切る役割を担っている。
が、使用人たちの朝の朝礼は、このアッヒェンベルのお嬢様話から始まるのが恒例である。
「私たち使用人は、お嬢様の為に存在し、お嬢様だけを想い、お嬢様の為に仕事に励み、お嬢様をお守りすることに全力を注ぐのです!」
こんなことが延々と繰り返される。
他の使用人たちも、主人であるクェンベルク家のお嬢様を大切にしているのに変わりはないが、アッヒェンベルは特別だった。
スケジュールや各々の仕事の確認事項よりも、アッヒェンベルのお嬢様話の方が長いというのは、もう皆慣れたものであった。