執事くんはお嬢様に溺愛
執事による、溺愛レッスン(2014/7/14)
貴族であるクェンベル家であるからには、社交会や舞踏会などは欠かせないもの。
なかでもダンスは必須である。
しかし、クェンベル家お嬢様、ローラは
実はダンスが苦手であった。
「……む」
ワルツのステップに苦戦しているようである。
難しい顔をして、必死にレッスン中である。
「ローラお嬢様、先週もお教えしたはずですわよ」
スパルタと有名な先生ですら、ローラの出来なさに何度匙を投げ出したいと思われてしまったか、な完成度であった。
「いいでしょう。本日はここまでと致します。また来週に、ごきげんよう」
先生の姿が見えなくなった後、ローラは盛大なため息を吐く。
「……おわった」
ダンスホールの床にそのままペタリと座り込むローラ。
それを見逃すわけがないのが、もちろん溺愛執事。
「お嬢様!!大丈夫でございますか?お手を…っ!」
そっとローラの手を握り、背中を支えるアッヒェンベル。
「…すまない」
アッヒェンベルに支えられながら、ゆっくりと立ち上がるローラ。
「お嬢様、無理をせずにやはりダンスのレッスンは別の先生に代えて頂きましょう!」
ダンスのレッスン中は、あのスパルタ先生のせいで、アッヒェンベルは口出しを禁止されていた。もちろん、ローラの援護も禁止。
何度、あのおばさんめと悪態をついたことか。
「あれくらい強い先生でないとお前が煩いからな…」
そんなローラの言葉は既にアッヒェンベルの耳には入っておらず、可愛い可愛いお嬢様をどうやって次回守るか、それしか頭にないアッヒェンベル。