俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!
時折、修司さんがわたしに仕事の質問をしてくれたけど、ほとんど上の空で答えていた。
『香乃子ちゃん』て、イケメンに呼ばれるのは悪い気がしないけど、やっぱりわたしは編集長から呼ばれたい。
創作料理は美味しかったし、夜景は綺麗だったし、本当に贅沢な時間だったとは思う。
だけど、編集長と会話が出来なかった、それだけでこんなに虚しさを感じるとは…。
時間も経ち、店から出たわたしたちは、次をどうするかで立ち止まっていた。
「ごめん。オレまだ残ってる仕事があるから、このまま会社に戻るな」
そう言ったのは編集長だ。
「えー?編集長、仕事があるんですか?」
ガックリ肩を落とす早川さんは、諦めた様にわたしと修司さんを交互に見たのだった。
「だったら、わたしも帰ります。お兄ちゃんたちの邪魔だし」
いやいや、むしろ早川さんだけでもいて欲しい。
それにしても、編集長ってばまた忙しいんだ…。
今夜はきっと、無理して来てくれたに違いない。
わたしにも、手伝えることがあればいいのに…。
編集長が会社に戻ると分かった途端、早川さんは早々にタクシーに乗り込み帰っていった。
どうやら、早川さんは実家暮らしで、修司さんは一人暮らしをしているらしい。
「本当に大変なんですね。今夜はありがとうございました。香乃子ちゃん、行こうか」
「はい」
修司さんに促され返事をしたものの、これから二人きりなのは憂鬱だ。