俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!


「お疲れ様でしたー」

毎日、毎日仕事は忙しい。

一人、また一人と帰宅をし、気がつけば亮平と二人きりになっていた。

「早川さん、また差し入れにやって来るかな?」

独り言の様に呟くと、

「来ないんじゃないか?今日はアポの後、直帰になってるから」

亮平が応えてきた。

「じゃあ、ずっと二人きりってこと?」

ドキドキしながら問いかけてみる。

だけど、それはアッサリと流されてしまった。

「香乃子も早く帰れよ。帰れる内に帰ってた方がいい」

「えー?帰らないとダメ?」

せっかく二人きりなのに。

今度いつ二人きりになれるか分からないのに。

「当たり前だ。もう仕事終わったんだろ?」

きつい目で凄まれ、小さくなるしかない。

「別に残業代とかつけないし…。ただ待っておくだけは?」

「ダメだ。帰れ」

「…はぁい」

亮平がここまで意思が固い時は、どんなに言っても無駄だ。

二人きりでも、今は全然甘い雰囲気になれないみたい。

仕方なく帰り支度をすると、仕事に夢中な亮平に声をかけた。

「お疲れ様」

「ああ、お疲れ」

ったく、顔も上げず手を振ってるだけなんて、ホント冷たいんだから。

イライラを感じながらビルを出たところで、誰に声をかけられた。

「香乃子ちゃん、今帰り?」
< 157 / 246 >

この作品をシェア

pagetop