俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!
わたしの勤め先は、中堅の出版社だ。
看板雑誌は、タウン情報誌のVILLAで、近郊の情報を掲載している。
レストランやホテル、それにデートや遊びで訪れるのに最適な場所を紹介しているのだ。
雑誌名のVILLAは、『タウン』のフランス語訳らしく、オシャレな街をイメージさせるフランスの様に、垢抜けた雑誌をコンセプトにしている。
だから、メインターゲットは20代から30代の独身女性だ。
その雑誌の編集をしていて、編集長はわたしの直属の上司だった。
「高垣(たかがき)編集長って、また泊まりだったんだって?」
デスクで仕事の準備をしていると、同期の弥生が声をかけてきた。
「うん。みたいよ。ヒゲは剃ってあるから、分からない人には分からないかもね」
「いや、分かるでしょ?編集長の習慣だから。ホント、あんな人を好きな香乃子が信じられないけどね」
しかめっ面の弥生に、わたしは笑うしかない。
いいじゃない。
人が誰を好きになろうと。
女子社員からの評判はイマイチだって知ってるけど、わたしは編集長が好きなんだから。