俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!
鍵をかけた亮平は、わたしを見つめた。
「どうした?」
「ちょっと話が…。それより、何でここに入ったの?」
見上げると、亮平は小さく笑みを浮かべながら、わたしの頭を撫でている。
「オレのこと、名前で呼んだろ?よっぽど、切羽詰まった話があるんだろうなって思ってさ」
「分かってくれるんだ…」
「分かるよ、香乃子のことなら。それより、どうしたんだよ?元気ないじゃないか」
元気あるわけないよ。
外国に行っちゃうなんてイヤだ。
わたしを誰よりも分かってくれる亮平が、そんな遠くに行くなんて…。
「亮平、親会社に移籍しちゃったら、外国に行っちゃうの?」
そんな寂しいこと、考えるのもイヤなのに。
一人になった後のことばかり考えてしまう。
「何で知ってるんだ?オレもさっき知ったのに」
「弥生から聞いたの。噂になってるみたいだよ?」
そう言うと、亮平はため息をついて宙を見上げた。
「オレより先に周りが知ってたのか。相変わらず情報がダダ漏れだな」
「そんな呑気なことを言わないでよ。一年も外国と日本で離れ離れなんだよ?それでも亮平は平気なの?」
口では散々、亮平を応援するとか言っておきながら、結局わたしは自分のことしか考えてない。
それは分かってるけど、この不安な気持ちを抑えることは出来なかった。