俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!


撮影場所に行くまでの間、わたしは二人の後をついて歩くだけだった。

今までなら、編集長の隣はわたしの場所だったのに。

疎外感でいっぱい…。

「おはよー香乃子ちゃん。今日はよろしくね」

「はい。よろしくお願いします」

相変わらず元気のいい絵美さんに出迎えられたけど、同じだけのテンションは保てそうにない。

ため息を飲み込むだけで、精一杯だ。

「亮平、彼女が新人の子?」

絵美さんは、さっそく早川さんに目を向けている。

すると、早川さんはサッと前に出て、会釈したのだった。

「早川亜矢です。よろしくお願いします」

さすが卒のない動きで、皮肉さえ言いたくなる。

「こちらこそ、よろしく」

絵美さんはニコリとすると、すぐに編集長に目を向けた。

「亮平、打ち合わせ通りでいいわよね?」

「ああ、いいよ。それから…」

相変わらず二人でサッサと話を進めるんだから。

奥で最後の打ち合わせをしている姿に、相変わらずのヤキモチを妬いていた時、早川さんが耳打ちをしてきた。

「編集長って、園田さんと付き合ってたんですよね?凄くお似合い」

「えっ?そんな事まで知ってるの?」

一体、いつの間に聞いたのよ。

驚くわたしに、早川さんは涼しい顔で答えたのだった。

「昨日、お昼を一緒にしたんですよ。その時に」
< 87 / 246 >

この作品をシェア

pagetop