俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!
なーにが、『その時に』よ。
それに、いつの間に二人でお昼に行ってたの?
全然気が付かなかったなんて、我ながら不覚だ。
「香乃子ちゃん、笑ってー」
「は、はい。すいません!」
いけない、いけない。
今は撮影中なのに、編集長と早川さんのことばかり考えてた。
だいたい今は、フルメイクでの最後の撮影なんだから、気合いを入れなくちゃ。
「平瀬、どうしたんだよボーッとして。いつものお前らしくないじゃん」
撮影を見守る編集長が、声をかけてきた。
こういう時に限って、優しい笑顔を向けるんだからズルイ。
「すいません。頑張ります」
本当のモデルさんのごとく、カメラマンの人はわたしを『可愛い』と褒めてくれる。
その言葉は耳に心地良く響くけど、編集長を前にしてはただのお世辞にしか聞こえない。
だって、本当に可愛いと言って欲しい人は、編集長だけだから。
そういえば出張の時、この仕事が終わったら話があるって言ってたっけ。
今日、話してくれるのかな。
早く、二人だけで話がしたい…。