俺様編集長サマにLOVE NONSTOP!


ホント、最悪。

もちろん、編集長のことでも早川さんのことでもない。

自分のことだ。

「これで、本当に嫌われちゃったなぁ」

大きなため息をつきながら、トボトボ歩いているけれど、会社まではまだまだ遠い。

どこかでバスに乗ろう。

と思うけれど、バス停を探す気にもなれなかった。

「編集長の大バカ。何がご利益よ」

貰った四葉のクローバーのキーホルダーは、編集長への想いが叶って、初めてご利益があるんだから。

「もう一度、お願いしておこ」

キーホルダーを取り出そうと、カバンに手を入れる。

だけど、あるはずの場所にそれはなかった。

「あれ?確か、内ポケットに入れたはず…」

手探りで探しても、カバンを覗き込んでもやっぱりない。

「どうして!?絶対に入れたのに」

確か、絵美さんのところに行くまでは入ってたのを見た。

それなら、絵美さんのところから、ここまでの間に落としたってこと?

カバンはボタンで留めるタイプで、外ポケット以外はファスナーがついていない。

常々、落し物には気をつけなきゃと思っていたのに、一番大事なものを落としてしまったのだ。

「探さなくちゃ」

あれは、編集長から貰った大事なキーホルダーなのに。

もし失くしちゃったら、本当にこの想いは叶わない気がする。
< 94 / 246 >

この作品をシェア

pagetop