センセイの好きなもの
『……あなた?それに、巧なの?』
『そうだよ。巧だよ。母さん』
母は俺の顔に手を伸ばしてくると、存在する確かめるかのようにペタペタと触ってきた。
小学生だった俺は大学生になって、声変わりもした。身長だって40cm近く伸びたし、顔つきも体格も変わった。
俺が大きくなった代わりに、母が小さく見えるのかも知れない。
『本当に巧なのね…。こんなに大きくなって。ずっと迎えに行けなくてごめんね。母さん、ずっと生きていくだけで精一杯で…巧はお父さんといたほうが幸せなんじゃないか、何も不自由せずに生きられるんじゃないかって、そう思ったら迎えに行けなかった。巧に会いたかったけど、会わす顔がなくて…ごめんなさい』
母は必死に声を絞り出すようにそう言うと、涙をこぼし続けながら俺に何度も謝った。
謝らなくていいのに…。別に恨んだり憎んだりしてないのに。
『もういいんだ。謝らないでいいから。無理矢理でも母さんについて行くことだって出来た。だけど親父と暮らすことを決めたのは俺だよ』
『そうだよ。巧だよ。母さん』
母は俺の顔に手を伸ばしてくると、存在する確かめるかのようにペタペタと触ってきた。
小学生だった俺は大学生になって、声変わりもした。身長だって40cm近く伸びたし、顔つきも体格も変わった。
俺が大きくなった代わりに、母が小さく見えるのかも知れない。
『本当に巧なのね…。こんなに大きくなって。ずっと迎えに行けなくてごめんね。母さん、ずっと生きていくだけで精一杯で…巧はお父さんといたほうが幸せなんじゃないか、何も不自由せずに生きられるんじゃないかって、そう思ったら迎えに行けなかった。巧に会いたかったけど、会わす顔がなくて…ごめんなさい』
母は必死に声を絞り出すようにそう言うと、涙をこぼし続けながら俺に何度も謝った。
謝らなくていいのに…。別に恨んだり憎んだりしてないのに。
『もういいんだ。謝らないでいいから。無理矢理でも母さんについて行くことだって出来た。だけど親父と暮らすことを決めたのは俺だよ』