センセイの好きなもの
巧先生はとにかくよく食べる。甘いものも大好きだし、事務所で徹夜した日の朝はクレープやパンケーキを焼かされたことも何度もある。

テレビの占いも大好きで真剣に見てるし、女子かとツッコミたくなるときもよくある。

だけどいくつも仕事を抱えて忙しく働いていて、それはとてもかっこいい(顔もかっこいいけど)。

無駄に声が大きいからビックリすることもしょっちゅうだけど、その全部が巧先生なんだ。



「お母さんのことは丸山先生にしか話してないの?」


「はい。何だか言えなくて…。私の生い立ちまで遡ることになるし。ここでのことを言いたくないわけじゃなくて、その…受け入れてもらえるか分からないから」


私は親しい友達もいない。やっぱり偏見もたくさんあるし、変な目で見られるかも知れないという先入観もあるんだけど。

巧先生はそんなことしないって分かってる。でも怖い。


「つむちゃん、もし何かあったときのことを考えて。自分のことを分かってくれる人を見つけておくのも大事なことよ。もちろん色んな人がいる。差別も偏見もきっと一生消えることはないわ。だけど、人を信じること。巧先生だってあなたを信じているんじゃない?」
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