センセイの好きなもの
払うモンとは養育費と慰謝料と当面の生活費。
貯金を切り崩しながらパートで生計を立てているわけで、当然限界はある。
マンションのローンもあるって言ってたし。
「ツム、玉井の連絡先どこだっけ」
「えっ、先生、名刺くらい貰ってるでしょ」
「名刺?…あー、そういやもらったかな」
巧先生はデスクの引き出しから名刺ケースを取り出す。いつもきちんと整理しているはずなのに、ゴソゴソと中身を取り出して机にばらまいている。
「…ないっ!捨てたかな~」
「捨てたって何やってるんすか」
「お前はうるせーんだよ。ツム、番号!」
私は仕方なく、連絡先を控えているファイルを取りに行く。個人情報だから、棚には全部鍵がかかっている。まずはその鍵を金庫から出さなければいけない。
「何かツムちゃん、世話女房みたいね~」
「ゴホッ」
みち子さんのその一言に、大先生はお茶を吹き出してしまった。巧先生、誤解を解いてくれなかったんだ…。
大先生は苦しそうにゲホゲホしている。巧先生は私に向かってニヤリとした。
こんな巧先生も嫌いじゃないけれど。
貯金を切り崩しながらパートで生計を立てているわけで、当然限界はある。
マンションのローンもあるって言ってたし。
「ツム、玉井の連絡先どこだっけ」
「えっ、先生、名刺くらい貰ってるでしょ」
「名刺?…あー、そういやもらったかな」
巧先生はデスクの引き出しから名刺ケースを取り出す。いつもきちんと整理しているはずなのに、ゴソゴソと中身を取り出して机にばらまいている。
「…ないっ!捨てたかな~」
「捨てたって何やってるんすか」
「お前はうるせーんだよ。ツム、番号!」
私は仕方なく、連絡先を控えているファイルを取りに行く。個人情報だから、棚には全部鍵がかかっている。まずはその鍵を金庫から出さなければいけない。
「何かツムちゃん、世話女房みたいね~」
「ゴホッ」
みち子さんのその一言に、大先生はお茶を吹き出してしまった。巧先生、誤解を解いてくれなかったんだ…。
大先生は苦しそうにゲホゲホしている。巧先生は私に向かってニヤリとした。
こんな巧先生も嫌いじゃないけれど。