センセイの好きなもの
｢お話の途中にすみません。さっきの大声でびっくりして…。我慢してたんですけど泣き出しちゃって、ママママって…｣


ツムから離れた煌成くんは一目散に陽子さんに抱きついた。
そりゃびっくりするよな…。ただでさえ不穏な空気だったんだ。



｢ごめんね、びっくりさせて。もう少しでお話終わるからね。だからあとちょっとだけ、お姉ちゃんと待っててくれるかな｣


煌成くんは嫌だと叫びながら、ツムに抱っこされて出て行った。

自分の子どものこんな姿を見ても、この男は何も感じないらしい。むしろ面倒臭そうにしている。


｢それでは了承していただけるということでよろしいですね？養育費は煌成くんに対するものです。父親として最後にやるべきことです。これを教訓に、あとはあなたの新しいお子さんを大事にしてください｣


親の離婚は子どもだって辛い。理解出来ても出来なくても、心には傷となって残る。

だからこそ少しでも良い方向に行けるように手助けをしたい。

幸せに生きて行けるように。
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