センセイの好きなもの
「ちょっと待ってください!私、人の多いところ苦手で」


「それなら個室がある居酒屋にすればいいじゃない?大丈夫よ」


そういう問題じゃないんだけど…。
母に見つかるかも知れないリスクは冒したくない。だからこそ前に巧先生に誘われたときも断ったんだし…。
だけどそんなことは玉井先生に言えなくて、結局私は引きずられるようにして連れて行かれてしまった。




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テーブルの上には隙間がないほどお皿が並んでいる。
焼き鳥の盛り合わせ、お刺身の舟盛りにアスパラとトマトのベーコン巻き、鶏の唐揚げと砂肝と軟骨の唐揚げ、サラダに枝豆、それからオイキムチ。

玉井先生は生ビール、しかも大ジョッキ。私は梅酒サワー。お酒はあまり飲めない。こうして飲みに来ることもないし、家でも飲まないから尚更かも知れないけど。



「巧と付き合ってるんだっけ?」


「えっ?あっ、はい…」


突然聞かれてギクリとしてしまい、しどろもどろになってしまった。玉井先生はプッと吹き出して大笑いしている。
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