センセイの好きなもの
「それにしても酒臭いな。二日酔いのまま仕事来るなよ」
「そんなこと言われても…。先生も知ってると思いますけど私、普段は飲みに行くこともないし…自分がどれだけ飲めるかも知らなくて。でも紗絵さんと話しながら、どんどん飲んじゃって…。あの、紗絵さんから聞きました。先生が私のことを心配してるって」
巧先生は前にも言ってくれた。困ったことや悩みは遠慮なく言えって。
それにお母様のことを私に話してくれた。
話すなら今しかない。
これを逃したらもう―――。
「今日、紗絵に聞かれてな。ツムとホントはどうなんだ、って。アイツはやっぱり騙せなかった。一緒にメシ食ってることとか、そういう他愛もない話。あ、コレのことは言ってないけどな」
巧先生は作りかけのストラップをひらひらさせながら笑っている。
「巧先生、私の話を聞いてくれませんか?私がずっと隠し続けてきたことを。逃げ続けてきたことを、聞いてください」
勇気を出そう。
大事なのは人を信じること。
巧先生の亡くなったお母様も百合子先生も、そう言っていた。
「そんなこと言われても…。先生も知ってると思いますけど私、普段は飲みに行くこともないし…自分がどれだけ飲めるかも知らなくて。でも紗絵さんと話しながら、どんどん飲んじゃって…。あの、紗絵さんから聞きました。先生が私のことを心配してるって」
巧先生は前にも言ってくれた。困ったことや悩みは遠慮なく言えって。
それにお母様のことを私に話してくれた。
話すなら今しかない。
これを逃したらもう―――。
「今日、紗絵に聞かれてな。ツムとホントはどうなんだ、って。アイツはやっぱり騙せなかった。一緒にメシ食ってることとか、そういう他愛もない話。あ、コレのことは言ってないけどな」
巧先生は作りかけのストラップをひらひらさせながら笑っている。
「巧先生、私の話を聞いてくれませんか?私がずっと隠し続けてきたことを。逃げ続けてきたことを、聞いてください」
勇気を出そう。
大事なのは人を信じること。
巧先生の亡くなったお母様も百合子先生も、そう言っていた。