センセイの好きなもの
「だからツムは料理が上手なんだな。元から好きだったのか?」
それまで黙っていた巧先生は、少し穏やかな表情に戻っていた。
「はい。施設には食事を作ってくれるおばちゃんたちがいて、栄養士さんや調理師さんなんですけど。料理が出来上がっていく工程を見るのも好きで。いつしか自分もこうやって働きたいと思うようになっていました」
いつどんなときも、おばちゃんたちが作ってくれるご飯を食べると優しい気持ちになれた。
だから自分もそんなふうになりたかった。
「ツム、内職をしてるのはどうしてだ?」
「時々、施設に顔を出しに帰ってます。この前の連休もそうだったんですけど…いっぱいお土産買って行ってあげたいから。送金も時々しています。あとは…もし何かあったときのためです。どこかに働きに出ても、急に辞めるとなると迷惑かけますから」
母が現れたときのこと、アパートの前で待ち伏せされたこと、職場までやってきてお金を貸してほしいと言われて店にいられなくなったこと。その後、引越して仕事も変えたのに、母がふらりと現れることを巧先生に話した。
それまで黙っていた巧先生は、少し穏やかな表情に戻っていた。
「はい。施設には食事を作ってくれるおばちゃんたちがいて、栄養士さんや調理師さんなんですけど。料理が出来上がっていく工程を見るのも好きで。いつしか自分もこうやって働きたいと思うようになっていました」
いつどんなときも、おばちゃんたちが作ってくれるご飯を食べると優しい気持ちになれた。
だから自分もそんなふうになりたかった。
「ツム、内職をしてるのはどうしてだ?」
「時々、施設に顔を出しに帰ってます。この前の連休もそうだったんですけど…いっぱいお土産買って行ってあげたいから。送金も時々しています。あとは…もし何かあったときのためです。どこかに働きに出ても、急に辞めるとなると迷惑かけますから」
母が現れたときのこと、アパートの前で待ち伏せされたこと、職場までやってきてお金を貸してほしいと言われて店にいられなくなったこと。その後、引越して仕事も変えたのに、母がふらりと現れることを巧先生に話した。