センセイの好きなもの
「どっちにしろセクハラですよ!あ、最後の発言はパワハラですね」


吉川先生は「巧先生、最低」とボソッと呟いた。もっと言ってやってくれと言いたくなる。

だって23にもなって、カケラも女として見られないってどうなの?


ちらりと巧先生を見ると、まだ氷のうでタンコブを冷やしていた。
大きなタンコブだったから痛いだろうな…。

そもそも私が助けてなんて誤解されるようなこと言わなければ…。

でもあの状況じゃ身動き出来なかったし、どちらにしても誤解されてたのかも。



「お前ね、仮にも弁護士だよ?やってないって言っても不利になる男は圧倒的に多い」


「私だって娘がいますからね!もしうちの娘がこんな目に遭ってたら袋叩きにしたって収まりませんよ」



みち子さんはテーブルをドンッと叩きつける。大先生はその迫力に驚いたようで、「ひっ」と言って巧先生にしがみついていた。


「巧、ここで一つハッキリさせよう。お前、前にもこういうことあったよな?ツムちゃんのこと好きなのか」
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