センセイの好きなもの

♢巧先生の家




人の家に入るのはやっぱり緊張する。


巧先生の家は商店街を抜けて、自転車で10分くらいで着く。

5階建てマンションの最上階の角部屋。
1LDKでリビングは南向き。私の家くらい、それよりもう少し広いかな。


リビングには大きな本棚が2つあって、法律の本がぎっしり入っている。


私はダイニングテーブルの上に食材がたんまり入ったエコバッグと、この部屋の鍵を置いた。

巧先生は私が鍵を失くさないようにと、どこから見つけてきたのか、トイプードルのビッグフェイスがついたキーホルダーごとスペアキーをよこしたのだ。
バッグの中でかさばって仕方ない。


前に私にハウスキーパーをしてほしいなんて言ったけれど、この部屋は掃除する必要がないくらいきちんと片付いている。
まだ数回しか来たことがないけれど、一度も掃除をしたことがない。


リビングはとってもシンプルで、大きめのテレビとローボード、縦長のスリムなスピーカー、ガラステーブルに黒い革張りの大きなソファ。それに本棚とダイニングテーブル。
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