センセイの好きなもの
「…あの、私も女ですよ。いくら先生のところといっても、酔っ払って泊まるなんて最悪ですよ」


仮に恋人同士とか、同性の友人とかならアリだと思うけど。

あくまでも私の勤め先の先生なわけで。



「俺は襲ったりしないけどなぁ」


俺は、ってどういうことよ?


「先生、そういえば今朝のことですけど。何であんなことしたんですか。身動き取れないし、本当に困ったんですからね!」


「ツム、ちょっとここ触ってみろ」



そう言って私の手を取ると、巧先生は自分の頭のてっぺんを触らせた。丸くてブヨブヨとした感触…。
みち子さんにゲンコツされて出来たタンコブだ。すぐに冷やしてたけど、これじゃ痛かったんだろうな…。

いやいや、巧先生があんなことするからこんなことになったわけで。



「すっげー痛かったんだからな!」


「先生がいけないんでしょ。あんなことするから…。それにあのとき、何て言おうとしたんですか?」


気になるから知りたいけど、知りたくない気もする。
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