センセイの好きなもの
「ちゃんと教えてあげたんですか?」


「当たり前だろ。俺が嘘つくと思うか」


「………」


それは時と場合によると思うんだけど。

答えないままいると、頭を小突かれた。


「お前、俺のこと信用してないな?」


「そんなんじゃないですけど…」


信用してる。信用出来る人じゃなかったら、こんなふうに過ごせないもん。


「あ、メシ炊いといてくれた?」


「もうすぐ炊けると思いますよ」



お米だけ炊いておいてほしいと言われたから、帰ってきてすぐに研いでセットしておいた。

巧先生はもう一つのビニール袋からビールを取り出す。しかも6缶パック。


「先生、歩いて帰るんですか」


「まさか。ツムに送ってもらおうかと思って。それで朝はツムが家まで迎えに来てくれれば…」


今週は鍵当番だっていうのに、そんな面倒なこと…。それに巧先生の車は大きいから運転するのも怖そうだし。


「コレは持って帰ってくださいね。私は続きやりますから」


「ツムのケチ!」


ケチとかそういう問題じゃない。


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