センセイの好きなもの
巧先生は何でも出来るのか―――。
私がボールペンを作っていた30分の間に次々と料理が出来て、冷めるから早くテーブルを片づけろと怒られてしまった。
チキンのトマト煮、ふわふわのプレーンオムレツ、オニオンフライ。
それからコンソメスープとシーフードサラダ。
「美味しそう…」
「腹減ってるんだから早く食えっ」
「いただきます」
一口大に切っておいてくれたチキンを口に運ぶ。皮はパリパリ、中は柔らかくてジューシーで、にんにくの効いたトマトソースがよく絡まっている。
それでいて程よい酸味もあって食べやすい。
「美味しい!」
「そうだろ。俺だって料理くらいはな」
仕事も出来てかっこいい上に料理も完璧とは。オムレツもとろっとしていて美味しいし、オニオンフライもサクサク。
これじゃ料理しか取り柄のない私も負ける。
「先生、こんなに作れるんなら自炊したらいいのに」
「家で作るときもあるよ。だけど作ってもらうのとはまた別だろ。