センセイの好きなもの

私にはよく分からないけど、そういうもの？
男のプライドとか？



「だって大先生、一人じゃないですか」


「馴染みの飲み屋にいるよ。そこら辺の居酒屋とかスナックとか覗けば、この時間は大抵いる」


「じゃあ一緒に飲んだら…」


「たまに颯と３人で飲んでる。俺はツムと居たいから来たわけ」



思いがけない発言に顔が熱くなるのが分かる。口が上手いなぁ。きっと仕事でもそうなんだろうけど。


「そういえばさ、ちょっと真面目な話するけど。ツムの母親はどんな見た目なんだ」


「えっ？」



見た目か…。
母は今時のホステスさんたちとは違ったケバさがある。言い方は悪いけど、場末のスナックをイメージしてもらえればいい。
髪の毛はすごく大きな巻きだし、昔から赤い口紅。それにサテン地のドレスが多い。


「ちょっとケバいです。髪はいつも巻いていて、赤い口紅。私と同じで小柄で…顔はそんなに似てないかな。天パも私だけだし。でもどうして…」