センセイの好きなもの
「吉川くん、巧はそういうところ情けないから、そっとね」


「そういうところ?」


「恋愛だよ。何ていうか、仕事は強引なところもあるんだけどね。そっちはダメらしい。リードが下手っていうのかなぁ?僕の息子なのに」



吹き出しそうになってしまうのを、ぐっとこらえる。

きっと大先生は紳士なんだろうなぁ。リードも上手そうというか、スマートにこなせるような気がする。恋愛観なんて聞いたこともないけど。



「おい、ツム。笑ってんじゃないだろうな?」


「えっ、そんなこと…ない…ですよ…。アハハハハハハ!もうダメ!」


こらえきれずに笑い出してしまうと、全然痛くないゲンコツとヘッドロックが飛んでくる。
頭をグリグリされても全然痛くない。



「巧先生、ダメですよ。気持ちはちゃんと言わないと」


「お前に言われたかねーよ」



お皿の上の牛タンを食べ終わる前に、大先生が焼けたカルビをお皿にのせてくれた。
こんなに明るい雰囲気で食事するっていいな。
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