センセイの好きなもの
ありがたいけど、でもそこは甘えたくないから断った。

夢は自分で叶えたい。自分できちんと生活しながら追いかけたい。

前だってそうだったし、それに私は今の仕事が好きだから。まだ続けたい。
法律のことなんてちっとも分からないから、料理でしか役に立てないけど。




洗濯物を干し終わって室内に入ると、巧先生も歯磨きを終えて戻ってきた。

髪の毛は相変わらずクルクルパーマ。
寝坊しても爆発を直す程度で済むし、セットせずにキマるから楽だと言う。

だけど二人揃って同じような頭って、ちょっと気恥ずかしいんだよね…。誰が気にするわけじゃないんだけど。



「じーっと見て何だよ?」



巧先生が訝しげに聞いてきてハッとした。私はまじまじと巧先生の頭を見ていたらしい。


「俺はハゲねーぞ!親父だってハゲてねーだろ」


「そうじゃなくて。私の天パって遺伝なのかなーって思って」


「今日お袋さんに聞いてみろよ」


今まで何度も聞いてみようと思いながら聞きそびれていた。名前も顔も知らない父親に似たのか、私だけの天パなのか。
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