センセイの好きなもの
母のお母さん―――私のおばあちゃんが今どこでどうしているのかは分からない。母も知らないと言っていた。
巧先生は母の肩をポンと叩いた。
「それならうちのお墓でいいじゃないですか。今からこんな話するのは失礼ですけど、ツムのお母さんは俺のお母さんでもあるし、俺はそれがいいと思うんですけど」
「お母さん、それならみんな一緒だから寂しくないじゃない」
「ありがとうね、そう言ってくれて」
巧先生は母のことをいつもちゃんと考えていてくれる。
今年の母の日にはカーネーションと、お店で使えるエプロンにいくつか贈っていた。
しかも私には内緒で。私は母からのメールで知ったのだ。
母は優しい笑顔になったと思う。と言っても、母から逃げていたときは表情を覚えている余裕もなかったし、子どもの頃の記憶なんて思い出せない。
「つーかツム、今日の服装、お母さんと似てね?」
…巧先生、目ざとい。
別にどれを着ようと話し合ったわけじゃなくて、たまたま。
私はアンクル丈の細身のジーンズと白いチュニックブラウス。
巧先生は母の肩をポンと叩いた。
「それならうちのお墓でいいじゃないですか。今からこんな話するのは失礼ですけど、ツムのお母さんは俺のお母さんでもあるし、俺はそれがいいと思うんですけど」
「お母さん、それならみんな一緒だから寂しくないじゃない」
「ありがとうね、そう言ってくれて」
巧先生は母のことをいつもちゃんと考えていてくれる。
今年の母の日にはカーネーションと、お店で使えるエプロンにいくつか贈っていた。
しかも私には内緒で。私は母からのメールで知ったのだ。
母は優しい笑顔になったと思う。と言っても、母から逃げていたときは表情を覚えている余裕もなかったし、子どもの頃の記憶なんて思い出せない。
「つーかツム、今日の服装、お母さんと似てね?」
…巧先生、目ざとい。
別にどれを着ようと話し合ったわけじゃなくて、たまたま。
私はアンクル丈の細身のジーンズと白いチュニックブラウス。