センセイの好きなもの
「先生、残念ですけどオムライスの材料がありません。パスタにしますよ！文句はなしで」


「えーっ。ツムのオムライス食いたかったのに…明日の昼に作ってくれ」


巧先生は口を尖らせて、まるで子どものように「チェッ」と言っている。


「分かりました。明日のお昼はオムライスにしますね。その代わり、どんなパスタがいいかリクエストしてもいいですよ？」


いつもはペペロンチーノかカルボナーラだから、それくらいならすぐ作れる。
あとはトマト缶にひき肉もあるし…。


「あのバジルのやつ！ジェノベーゼだっけ？この前、店で食べたんだけど、やっぱツムが作るほうがいいんだよな」


ジェノベーゼ…さっき私も食べた。
巧先生には２～３回しか作ったことがないけど、それでもお店のものより私が作るほうがいいなんて…。
その言葉と、何でもないような偶然に心がトクンと反応する。


巧先生、ありがとう。
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