センセイの好きなもの
転職して半年。
パンプスにもようやく慣れたけれど、まだ足元がおぼつかない。


いや、でもこんなところで寝てる巧先生も悪いよね?
隣の資料室なら大きいソファーだってあるのに。


巧先生はのそのそと起きると、また大きなあくびをする。

パーマがかかった真っ黒い髪は寝癖がいっぱい、髭も少し伸びている。
悔しいけど、こんな姿でも巧先生はかっこいいんだ。

巧先生は背が高くてイケメン。目はパッチリした二重で、低くて太めの声はちょっと甘くて色っぽい。


「ツム」


寝起きのこの掠れた声もまたいいんだな。
ニヤニヤしそうになるのを堪えて、しれっと巧先生を見る。
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