センセイの好きなもの
午後は予約が2件。
クライアントが立て続けに来ていたし、そもそも俺が今ここにいるのはアイツが来たからだ。

腹が立って仕方ない。

もう終わったことだし、それに対しては何の感情もない。

問題はツムに対する態度だ。
ツムが彼女だと先手を打ったのが間違いだった。


「先生、考えごとするか食べるかどっちかにしてください。せっかく作ったんですよ!」

ツムの声で我に返る。


「何で分かるんだよ」


マカロニサラダはカレー皿にてんこ盛りに盛り付けられていた。シンプルだからこそ食べ出すと止まらなくなる。
きゅうりとにんじん、玉ねぎにハム。
ツムの作るものは何でも美味しい。


「分かりますよ。先生、お昼だってムスッとしてたし。難しい顔してるから誰だって分かりますよ」


「悪い。今日はもうとにかくイライラして。ツム、悪かったな。俺があんな嘘ついたから嫌な思いしただろ」
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