センセイの好きなもの
それなのにどうして内職を…。
軽々しく言うことじゃないだろうから、誰にも言ってないけど。


「先生、この前のことちゃんと大先生に言ってください。誤解されたままですよ」


この前…、ツムに俺の家のハウスキーパーの話をしたときか。
忙しくてすっかり忘れてた。


「えーっ、わざわざ話すの面倒じゃん。親父が勝手にヤキモキしてんだろ?放っときゃいいって。それよりツム、やる気になったのか?」


ツムはこれみよがしにため息をつく。

俺はゆっくり掃除をする時間がないから頼んだのにな…。でも業者を入れるほとでもないし、いじられるのも嫌だし。
その点ツムなら知ってる奴だからいいんだけどなぁ。


「私は掃除のプロじゃありませんよ?料理は好きだけど片づけは得意じゃないし…。それに内職もありますから。だったら食事はこうしてここで食べて行ってもいいです。掃除は時々手伝いますし」

それじゃボランティアじゃねーか。
俺は金になる話をしてるのに。ツムは欲がないのか。
< 84 / 234 >

この作品をシェア

pagetop