センセイの好きなもの
「ツム、これはビジネスの話だぜ?金なしでやるならボランティアだぞ」


「だって事務所でやってることと変わらないじゃないですか。それに大先生には恩があるので、巧先生からお金を貰うことは出来ません」


律儀っつーか何つーか。
親父は親父だし、俺は関係ないんだけど。何の恩があろうとしても。


「よし、じゃあこうしよう。週2回、夕飯作ってくれ。食費は出す。ツムの食べたいものも作ったらいい。それで、ここで食うときは俺が内職手伝う。俺んちのときはツムが掃除を手伝ってくれ」


「先生の家に私なんかが入っていいんですか?」


「いいから言ってんの。彼女だっていねーし、気にすんな。今度スペアキー渡す。ツムが先に帰るし、そうしないと不便だろ」


ツムは報酬なんて絶対受け取らないだろうから、時々ケーキでも買ってやろう。
名案だと思いながらツムを見ると、もじもじしている。

「どうしたんだよ」
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