センセイの好きなもの
「あの、先生…私も女ですよ?変な意味じゃなくて、その…」


ははーん。スペアキーのことか。

確かにそうだな。俺は男でツムは女。
付き合ってないし、言うなれば上司と部下?


「気にするな。信用してるから渡すんだし。そうだ、しばらくは付き合ってることにしといてくれ」


「玉井先生のことですね」


思い出したように笑い出す。
何だか腹が立ってきて、ツムの髪をぐしゃぐしゃにしてやった。本人はふわふわな天パなんて言ってるけど、俺からしたら結構クルクルしてるように見える。
ツムの頭は俺の手で掴めそうな小ささだ。


「さー、ツム。俺の好きなところを言ってみろ!」

「へ?何でですか」

「万が一アイツに聞かれたときのためだよ。ほら、下手に考えないでスパッと言ってみろ」


ツムはちょっと待ってと言いながら、頭をフル回転させているようだ。目がキョロキョロ泳いでる。
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