極道一家のマヤ
「もう~、マヤ遅い!何してたのよ!」
教室に入った私に気づいた杏奈が、イライラしたように口を開く。
既に昼食の弁当箱は片付いていた。
「ねえ、杏奈。園田 桜って子…知ってる?」
「ちょっと無視!?…って、園田 桜?知ってるに決まってんじゃん」
え…
「かなりの美少女って有名だし、知らない人のほうがめずらしいよ…て、ああ、マヤは転校生だからわかんなかったのか」
―パタン
言いながら片手の携帯電話を閉じる。
「つーか、なんでそんなこと聞くの?」
「ああ…あの、さ」