極道一家のマヤ
「あ……あっ……」
「春野くんに…美都場くん…」
予想外、そして壮大過ぎるふたりの登場に…周りの女の顔がどんどん青ざめていく。
同時にこちらへと歩み寄って来る、ふたり…。
『説明しろ』…?
顔面蒼白で、なぜかジリジリと彼らから後ずさっていく女たちとは裏腹に…私は首を傾げた。
そんな私を尚も睨みながら…美都場は口を開く。
「教室の開いた窓から、桜の悲鳴が聞こえた。お前ら……桜になにした?桜はどこだ?」
美都場の…これまでにないくらいの怒った表情。
獣のような鋭い目が…風でなびく長めの前髪の間からこちらを見てる。
「…」
私は息を呑む。
彼らの登場により…その場が氷でも流し込まれたかのように、一気に冷たくなったのだ。
同時に気づいた。なぜ彼女らが、こんなにも恐怖の色を顔に浮かべているのか…