極道一家のマヤ



美都場の手が私の胸ぐらをつかみ上げる。




「桜を傷つけるやつは…誰だろうと許さねえ」







美都場は…


私が社 真弥であることに、気付いているんだろうか…?


ひと時とはいえ、くだらない言い争いをしたこと、笑いかけてくれたこと


そして…



あのとき保健室で、必死に腕の傷を手当してくれたこと…





今の美都場に、その頃の面影はもうなくて…


きっと今の彼にとって、私は…


社 真弥ではなく、『桜を傷つけた下衆なヤツ』と認識されているのだろう。







< 347 / 581 >

この作品をシェア

pagetop