極道一家のマヤ
ギリギリと…私の首を締め上げる手が強くなっていく。
哀しいはずなのに…涙が出ない。
私は美都場の怒りに満ちた目を…ただ無表情に見つめていた。
「やめろ、嵐」
不意に…誰かが私から美都場を引き離す。
「今はこいつに構ってる場合じゃない。早く桜を保健室に運ばないと」
「…」
この状況に終止符を打ったのは、春野だった。
「気持ちはわかる。けど…
こんなヤツにお前の手を汚す必要はない。」
どこか落ち着いた言葉とは裏腹に、睨むような視線が私を見る。
春野も…完全に私を敵視していた。