極道一家のマヤ
「あ…れ…?」
気のせい、かな…?
「ん、どしたー?マヤ」
「ううん、なんでもない」
隣で携帯をいじっていた杏奈に慌てて返事をする。
一瞬だけど…
数メートル先にあるファミレスから出て来た男の子が、美都場に見えて…
それに同じ高校の制服だった…。
隣を見てみるけど、携帯に夢中の杏奈は気づかなかったみたい。
いくら高校に一番近い店とはいえ…美都場がファミレスに行くとは想像できない。
まあ、春野や神名に無理矢理連れて来られてはいそうだけど…
…って、完全に嫌われたのに、なんであいつのことなんか考えんだか…。
あの屋上での、美都場の私を見る冷たい視線を思い出して胸が痛む。