極道一家のマヤ
「マヤ」
「ん?」
「集合場所あのファミレスだって。いいかな?」
「うん」
私たちは今から、一条龍と会うことになっていた。
杏奈いわく、この県の最強暴走族組織は『嵐』だけではないらしく…
県№2暴走族、『龍』の総長…
それが一条龍。なんと杏奈の幼なじみである人だった。
ダメ元で杏奈に連絡を取ってもらったところ、なんと早速今日会ってくれるとのことだった。
「なんか最初メールしたときは『いやだ』『無理』『めんどくさい』の一点張りだったんだけどね。
けどマヤの家元の事情話したら急に乗り気になってさー」
まさかオッケーの返事が返ってくるとは思わず、驚いている私に杏奈は言った。
「家元の事情って…私が社家の娘だって言ったの!?」
「仕方ないじゃん。じゃなきゃ龍のやつ絶対会ってくれないって。ただ会いたいじゃ媚び売ってるみたいじゃん?」
「…。」