極道一家のマヤ
もう、私はあの人たちのそばにいてはいけない。
私はあいつらにとって疫病神だ。これ以上、無暗に荒波を立てるくらいなら…『嵐』の仲間入りはあきらめるのが妥当だろう。
新しく、前に進まなければいけない。
それなのに…
頭ではわかっているのに…
なぜ手が震えるのか…
『龍』のメンバーの証である称号は…すぐ目の前。
「マヤ…」
私の目に迷いの色が滲み出ていた…そのときだった。
「…迷ってんじゃねえよ」
「…っ」
突然怒ったような…低くドスのきいた声が耳に届く。
顔を上げた瞬間、鋭い目がこちらを見ていた。