極道一家のマヤ
え…
一条龍は笑った。
「よう、嵐…久しぶりじゃねえか」
彼の言葉に…私と杏奈の顔に驚きが走ったのはほぼ同時だった。
今、この人…
「嵐」って…
「龍…」
更には隣からも、相手の名を呼ぶ声。
は…?
私は驚きで目を見開く。そして…今度は隣の美都場を見つめた。
どれだけ急いでここへ来たのだろう…額に汗が滲んでいる。
私の頭の中を、ある考えが静かによぎった。
もしかして、このふたり…
知り合いなの…?
先ほど、お互いの名前を呼び合ったことが何よりの証拠。
それに今…なぜかふたりは、双方睨むように見つめ合っている。