極道一家のマヤ
「…っ!」
私と美都場の足が…同時に止まる。
「りゅ、龍…」
一条龍が…
美都場がつかんでいるほうとは反対の私の手をつかんだのだ。
「龍…その手を離せ」
「…なんのつもりだ、お前」
私を挟んで…なぜかどす黒い怒りのオーラをぶちまけるふたり。
さっきふたりは知り合いなのかと思ったけど……
と、友達…とかいう関係では、なさそう…。
「あ、あの、ふたりとも…」
このギスギスとした嫌悪感と、ただならぬ雰囲気…
知り合いだってのはわかったけど、お互いの過去に一体何があったのか…
ふと…
「…」
地面の落ちていた何かを拾い上げる美都場。
そして…
―ガシャ…!!
次の瞬間、拾ったものを強くテーブルの上へと投げつけた。
「こいつは…お前には渡さない」