極道一家のマヤ
美都場が投げたのは…
さっき私がはめようとしていた…銀のブレスレット。
「え…」
私は驚いて隣の美都場に視線を向ける。
こいつ、今…なんて…
強い視線を投げかけてくる一条龍に…美都場はただ一言、そう言った。
「わたさない」って…
瞬間…
「…っ」
突然、美都場に肩を抱かれる。
それは、私の片手をつかむ、一条龍への対抗にも見えて…
こんな状況だというのに、胸が高鳴った。
「美都場…」
思わずつぶやいてしまった名前とともに、美都場が私へと視線を向ける。
だが目が合ったのも束の間、彼は気まずそうに、なぜか悲しげに長いまつげを伏せた。
さきほどまでの、一条龍に向けていた表情とはまるで違う。
「…?」
「マヤ」