極道一家のマヤ
「ハア、ハア…」
長く続く道を…
「クソッ…!」
オレはひたすら走っていた。
名も知らないあの女と別れてから…軽く1時間以上は走り回っている。通り過ぎる町の住民からは何事かと見られ、息をひどく乱してまでオレが今すぐに会いたいのは…たったひとりだけ。
桜でも…ましてや『嵐』の仲間でもない。
こんなに全力で誰かを探しまわるのは初めてだった。
「ちくしょ…あいつ、どこいんだ…」
マヤに会うため、オレが最初に向かったのは学校だった。
だが、帰りのホームルームが終わってからもう2時間近くは経っている。委員会や部活をしていない限り、あいつがまだ学校に残っているのはほぼゼロに近い。