極道一家のマヤ
そっか……。
美都場、もう私のこと、『嵐』のメンバーに話してるんだ……。
まあ、確かに私を仲間に入れようなんて、いくら総長とはいえ独自の判断で決められることじゃないよね。
「えー、別に悩む必要ないじゃーん。『嵐』に入っちゃいなよー」
それにしてもこの急展開にはめまいすらしてしまう。
だって、この前までは私、美都場も含めこの人たちには思い切り敵対視されていたし避けらていたわけで……。
でも、それも当然と言えば当然。
私は桜をいじめていたと思われていたし、『嵐』に入りたい理由も、家の事情は話さずに「権力が欲しいから」としか伝えていなかったから。
どちらにせよ、こうしてまた口をきいてもらえたのはいい傾向なのだろうか……?
抱き着かれるのはいい傾向にもほどがあるけど……
「か、神名……離れてもらってもいいかな?」
「えー、なんでー?」
さも不思議そうにそう言うから頭が痛くなった。
「クラスのみんなに見られてるでしょ!」