極道一家のマヤ



神名が抱き着いてきた時点で、男子からは驚いたような視線を、女子からは睨むような視線が注がれている。


そういえば、このクラスの大半の女子が『嵐』のファンだった……。


「えー!マヤりん冷たい……」


マヤりんって……


いくらなんでも以前までと態度変わり過ぎだと思うんですけど。


そんな私の考えを汲み取ったように、次の瞬間にはニコッと満面の笑みを浮かべる神名。


「嵐が認めた女の子はあ、もはやオレの彼女同然なんだよ」


勝手に付き合ってることにしないでください。


「マヤちゃん……」


不意に、神名以外の人に名前を呼ばれる。


顔を上げると、哀しげにこちらを見る春野がいた。


「屋上での桜の件……勝手に犯人だって決めつけてごめんな」


「ああ……」


そういえば桜はあの日以来、気を失って入院してたんだよね……。


今思い出しても、桜をそんな目に遭わせたあの女たちには腹が立つ。


だけど別に、あのときの美都場と春野は悪くないと思う。








< 478 / 581 >

この作品をシェア

pagetop