極道一家のマヤ
「春野たちは悪くないよ。元々は自暴自棄になった私が悪いんだし……それより、桜の様態は大丈夫なの?」
「ああ、たぶんあと2日もあれば退院できると思う」
春野が苦笑交じりの笑みを浮かべる。
「意識が戻って早々、事の経緯を話して桜に殴られたよ。『私をいじめていたのはマヤじゃない、マヤはそんなことする子じゃない!』って……」
桜……
美都場や春野たちと、こうしてまた会話ができるようになったのは……桜が誤解を解いてくれたおかげなんだよね。
今日あたり、お見舞いに行こうかな……。2日もあれば退院できるみたいだけど、やっぱり心配だ。
「今まで、避けててごめんな?」
続いて声をかけてきたのは、綾瀬だった。
「でもオレ、すげえ勝手なこと言ってるかもしれないけど、今はマヤちゃんのことすごい女の子だって思ってるから」
「すごい……?」
「あの社家を見返したくて、『嵐』のメンバーになろうとしたんでしょ?」
ああ、美都場……家のことまで話したのか……
なるべくならそれは、私と一条龍に杏奈、美都場の4人だけの秘密にしておきたかった。
まあ、いいけど……。
そこでチャイムが鳴った。