極道一家のマヤ
美都場くんもホームルーム終了直後、慌ててマヤの後を追ってきたというところだろう。
一足、私の方が早かったけど……
さっきのできごとを、事細かに話そうとしたときだった。
―ブー、ブー……
手の中の携帯が振動する。
画面を見てみると着信で、相手はついさきほど電話をしようとしていた……龍だった。
とりあえずと、私は通話ボタンを押す。
龍にも、さっきのことは話さなきゃいけないし……
だけど携帯を耳に当てた瞬間、聞こえてきたのは息を乱した龍の声だった。
『杏奈!!』
「わっ、な、なに?」
普段、こんな荒げた彼の声は聞かないから驚いてしまう。
『マヤは、マヤは今一緒にいんのか!?』
「え、なんで?」
『マヤを探し回っていたっていう連中がわかった』