極道一家のマヤ
「川崎組……?」
美都場くんの口から、戸惑いにも似た声が漏れる。
私にもはっきりと聞こえた。
「川崎組って……」
確か、マヤの話だと……
「今、社家と対立してるっていう……」
その川崎組が、どうしてマヤを探していたんだろう?
さっきお兄さんとどこかへ行ってしまったマヤといい、話がどんどん複雑化してしまっているような気がする。
そして、嫌な胸騒ぎも……
「マヤを嗅ぎまわっていた連中ってのは川崎組」
不意に、美都場くんがつぶやくように言った。
「それはわかった。んで?マヤはどこ行ったんだ?」
顔を上げると、なおも私の携帯を耳に当てながら、美都場くんがこっちを見ていた。
私は先ほどのマヤとのいきさつを美都場くんに話したのだった。